2月7日、NHN Japan 田端信太郎氏と文藝春秋 田中裕士氏をスピーカーに迎えた page2013 コンファレンス「コンテンツビジネスの収益化」で、メディアプローブ 藤村がモデレーターをつとめました。
田端氏の近著『MEDIA MAKERS』がベストセラーとなったことや、氏が属するNHN Japanの会社分割が発表された翌日という話題性もあってか、会場は満席となりました。
田中氏は、「週刊文春」での記者活動の経歴やその後の人気記事の企画、そして新雑誌の立ち上げなど、月刊「文藝春秋」の編集や書籍企画に携わった後、一転、デジタル化部署に配属。現在は、「Number Web」を筆頭に同社が展開するメディアのデジタル化・ソーシャル化を精力的に推進しています。
パネルディスカッションは、リクルートや旧ライブドアを経て今また「LINE」という怪物アプリを“収益化”する立場の田端氏、老舗ブランドが擁する各種メディアを印刷を軸にしながら、オンライン・オフラインへと工夫を凝らした展開を進める田中氏に、Webのさらにその先に広がるモバイルメディアづくりに携わる藤村が絡む進行となりました。
田端氏は「LINEではコンテンツそのものというより、“文脈”が重要であり、誰がどういう動機で使うかという背景抜きにコンテンツとしての価値は語れない」とします。
会話に関連する、つまり文脈に沿ったスタンプをやりとりするLINEは、女性の共感性に刺さるツールであったことが、成長の一つの要因とも分析します。また、情報の受け手(消費者)の価値から逆算して企画を発想することの重要性を強調。「沈みゆくタイタニック号の食堂で皿を洗っている」というたとえから、品質ばかりにこだわってユーザには届かないという愚に陥りがちな古いビジネススタイルに対して警鐘を鳴らしました。
一方、田中氏は、「Number」は、印刷、Web、アプリに加え、リアルなイベント企画まで幅広く展開していることを説明。雑誌の役割は場づくり。読者に向けてメディアの矜持を保ちながらいかに多様な収益化を開発していくかを常に考えているとしました。また、Number Mobile は一部のスペシャルコンテンツをのぞいてNumber Webが無償でサイトに掲載しているコンテンツをベースにしているにもかかわらず課金に成功していることを挙げ、“タッチポイントの多様性”によって、収益化の可能性も広がるとしました。
藤村からの一言
メディアやコンテンツの現場で、日々精力的にお二人の現場感あふれる発言を引き出せることができた価値のあるセッションでした。まさに田端氏や田中氏が述べられた“ライブ”という文脈が付加された結果、来場者の方々の満足度も高まったのではないでしょうか。メディアのこれからを考える際のヒントとなりました。