W3C HTML5 Japanese Interest Group ミーティングレポート

シニアインフォメーションアーキテクトの浅野です。
このブログでは、これが今年初めての投稿になります。遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、先週金曜日に、W3Cの「HTML5 Japanese Interest Group」のF2Fミーティングに参加してきました。
このIGは、HTML5仕様やその関連仕様についての日本語での議論を行うため、昨年の暮れに立ち上げられました。発足した当初から私も参加させていただいているのですが、オフラインでの集まりはこれが初めてとなります。
会場では、HTML5というまさに現在進行形のテクノロジーへの期待を抱いた参加者の熱気がひしひしと感じられ、非常に密度の濃いイベントとなりました。
ブラウザーベンダー各社のプレゼンとデモは、Operaのダニエルさん、Mozillaの加藤さん、マイクロソフトの五寳さん、Googleの及川さんという錚々たるメンバーによって順次行われましたが、詳しい内容はいち早くオンラインメディアPublickeyの記事でまとめられています。また、Twitterではハッシュタグ「#jaig5」で、このイベントについてのTweetを見ることができます。
そこで、各社のプレゼンテーションについて個人的に印象に残った点のみ、以下に挙げてみたいと思います。

  • Opera のダニエルさんが指摘されたように、HTML5は仕様自体がどんどん変更されている最中だし、その実装状況もあまりに変化が激しいので、たとえばブラウザ ごとの対応を一覧表にしてチェックしたりする従来の考え方は実質的にナンセンスになってきている。結論としては、ブラウザではなくてユーザーのことを考えるという発想の転換が必要。Progressive Enhancementのコンセプトを重視して、「最良のインターネット体験をできるだけ多くのユーザーへ」。これが大事!
  • Mozillaの加藤さんは、ご自身がブラウザーのコードを書いていらっしゃるコアディベロッパーということで技術的なお話がメインでしたが、自分たちのプロダクトへの愛と情熱の大きさが伝わってくる頼もしいプレゼンでした。新機能の紹介サイトであるHACKS.MOZILLA.ORGでは、興味深いデモをあれこれ見ることができます。
  • マ イクロソフトの五寳さんは、このようなブラウザーベンダー各社が揃う場ではいつも自らおっしゃっているように、IE特有の事情(つまり、他のブラウザーのように日々製品のビルドを上げていく開発体制を採っていないこと)によって、先端的な技術の実装については常に不利な立場におかれがち…なわけですが、それにも負けずいつも誠実かつできるだけオープンであろうとする姿勢を見せていらっしゃるのが素晴らしいと思います。 HTML5のサポートも、IEではまだまだ十分とはいえない状況ですが、五寳さんのような方がコミットなさっていれば少しずつでも望ましい方向へ進んでい くのではないかと、期待しています。ちなみに、IE8での新機能をチェックできるデモサイトも公開されています。
  • Google の及川さんのお話でなるほどと思ったのは、Googleは自社のブラウザーであるChromeの開発を通じて、結果的にWebkitにも貢献しているということ。したがって、ChromeからWebkitへと応用されたテクノロジーが、さらにWebkitをベースとしたSafariなどの他のブラウザーでも利用できるようになるケースもあるということです。企業がその成果を自社内で囲い込んでおくのではなく、必要に応じてオープンにすることでその技術のエコシステム全体が成長するならば、素晴らしいことですね。
    また、Chromeが得意としているWeb Socketsについて、有志であるこまっしゅ氏によるサンプル公開プロジェクトを紹介なさっていました。実は私自身も、Google Waveのホワイトペーパーの翻訳をしてみた経験などがあるので、気になる新技術に出会うと何かしら貢献したくなるという気持ちは、よく理解できます :)

というわけで、これからもHTML5 Japanese IGの活動には大いに期待しているのですが、メーリングリストへの投稿はまだ決して多くはありません。
IGへの参加には、特に資格などは必要なく、誰でも参加できます。参加すれば、上記のようなブラウザーベンダーの関係者の方々と直接MLでディスカッションできる機会もあるかもしれません。
HTML5に関心をお持ちの方は、ぜひお気軽に参加してみてはいかがでしょうか

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