「DESIGN IT! Forum 2008」に参加してきました

インフォメーション・アーキテクトの浅野です。
昨日、ソシオメディア株式会社様主催のカンファレンス「DESIGN IT! Forum 2008」に参加してきました。
今回、海外から迎えられたスピーカーは、米国Adaptive Path社のインタラクションデザイナーであり、書籍『Designing for Interaction』(邦題『インタラクションデザインの教科書』)の著者でもある、ダン・サファー(Dan Saffer)。
Adaptive Pathという会社には、私が加入しているIAI(米国情報アーキテクチャ研究所)の主要メンバーたちが多数在籍しており、常日頃からメンバーMLでのディスカッションなどを通じて親しみを感じています。その一人であるダンが来日するからにはぜひとも直接話を聞きたい!と、この日を楽しみにしていました。


この日、彼が担当した2つのセッションのうち、「アダプティブ・パスにおけるインタラクションデザインの実践 - ケーススタディ:ニューヨーク交通チケット自動販売機、Google マップ、Microsoft Office 2007」で面白かったのが、Office 2007のケーススタディでした。
Office 2007では抜本的なUIデザインのテコ入れが行われたのはみなさんご存知かと思いますが、その際に実は機能を減らすという事は行われておらず、逆に機能の数自体は過去のバージョンアップと同じく相当に増えている。にも関わらず、たとえばニューヨークタイムズ紙では「From bloated to sleek (でっぷりさんがスリムに変身!というニュアンスですね)」という評価が上がったそうです。
実は何も削っていないのに、“ダウンサイジング”に成功したとユーザーに実感させることができる。
この事実は、インタラクションデザインのパワーを如実に物語っているのではないでしょうか。
逆に、ニューヨーク交通チケット自動販売機のケースは、欧米のデザイナーがしょっちゅう口にする“Less is More”あるいは“Simplicity is everything”といった原則を具現化するような、どちらかというとよくある性質の事例でした。
もちろん、インタラクションデザインにおいて「シンプルさを追求すること」は非常に重要な原理ですが、このセッションではそれと対照的なOffice 2007の事例により、「複雑さを手なずけること」も同じく重要だということが分かったのです。
インタラクションにしてもユーザーインターフェースにしても、単純にすればするほどよいとは限らない。
さまざまな利用者や利用コンテクストに合わせて、シンプルさと複雑さのバランスをいかにうまく保ち、いかにユーザーの自然なふるまいにマッチさせるかが重要なんですね。
もう一つ、“パズルとミステリーの違い”という、興味深い話がありました。
パズルとはただ一つのソリューションしかないもの、ミステリーとは何通りものソリューションがあるもの、として区別できるが、従来、何か問題を解決するという場合に、ユーザビリティ寄りの人々はそれをパズルとして扱い、デザイン寄りの人々はミステリーとして扱う傾向があるようだ。
そして、Office 2007の成功は、デザイナーたちが前者から後者への方針転換を図った結果なのだ、と言うわけです。
これには「なるほど~」と思いましたね。今後、自分が仕事をする上でも気に留めておきたいポイントです。
幸い、イベント終了後もダンと話をさせていただく機会があり、米国でのデザイン教育の状況や、彼が最近ハマっているフィジカルコンピューティングのことまで、他にもあれこれ会話を楽しませていただきました。
こういったイベントなどを通じて、日本国内でもますますインタラクションデザインの価値が認められるようになることを願っています。

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